「現代魔術の地下水脈 20世紀末文化と新たなる黒船」メモ

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    2017827日、大崎トレスカリーニで開催された「現代魔術の地下水脈 20世紀末文化と新たなる黒船」。そこで東京リチュアル代表バンギさんと僕とのトークで出てきた現代のフラタニティ文化についてのメモを下記に記載しておく。

     

    19世紀から20世紀末にかけて花開いたフラタニティ結社文化は、そもそも知的階級によるインテレクチャルなものであった。もちろん個人個人ではさまざまな思想や感情・・・・・なかにはレイシズムやパトリオティズムにも繋がるものも含まれていたであろうが、そこは会員たちの知性と美意識によって遠ざけられていた。

     

    英国にて1970年代後半より発生したケイオス・マジック・ムーブメントが、パンク・ロックやインダストリアル・ミュージックなどのユースカルチャーと結びつき、それまでの魔術や秘密結社の体系をバラバラに解体したときも、ルーン・カルト、オーディン信仰など(白人至上主義的危険性をはらむ)ノルディック・イデオロギーの台頭が指摘されたが、あくまでメタ的要素にすぎなかった。

     

    しかし2000年代以降、グローバリズムと移民流入や格差社会の問題、それにともなうテロの勃発などが大きな問題化となった現代ではそのメタ的要素が崩壊し、民族イデオロギー回帰運動へと舵が切られるようになる。

     

    そんなポスト・モダニズムの終焉後の欧州で現在注目すべきフラタニティ文化最前線をいくつかバンギさんが紹介。

     

    FEMENフィーメン

     

    2013年プーチンとメルケルに果敢に突進するフィーメン。

     

    ウクライナのキエフにてハンナ・フツォルなどが創始者となり2008年より活動するフェミニスト・グループ。トップレス姿であらわな上半身にメッセージを書きなぐりウクライナのみならず欧州からアフリカまで出没しゲリラ的デモを敢行する。トップレス姿になるのは「だって旗を振っても誰も自分たちのメッセージを読んではくれないでしょ。おっぱいにメッセージを書けばみんなが注目するから」とうなずくしかない理由によるもの。ちなみにドイツ・テクノ界の伊達男DJヘルは彼女たちをサポートしている。「ウクライナの若い女性のリーダーシップや知性、道徳性を向上させるとともに、ウクライナが女性にとってチャンスの国だというイメージを作る」ことを目的に、売春合法化反対、セックス産業の廃止や宗教による女性抑圧、ファシズムなどに抗議運動を続ける。

     

    フィーメンは2015年には組織として終了宣言されたが、フィーメンの抗議スタイルは現在も多くのフェミニスト団体に継承された。

     

    そしてフィーメン以降のウクライナ・フェミニズム団体で秘密結社的に注目なのが武装女性集団アズハルダである。

     

    ASGARDAアズハルダ

     

    アズハルダのドキュメント映像。なんて名前の武器かは知らないが鎌みたいな刃物をブンブン振り回すのマジで人体スライスされそうでヤバイ

     

    同じウクライナのフェミニズム団体でありながらフィーメンのリベラル路線に対してアズハルダは極右の民兵組織を目指す。キックボクシング女子世界チャンピオン、カテリーナ・タルノスカを創始者に、山奥でマーシャル・アーツを修練しながら女戦士を養成。彼女たちは現在の貧困やアルコール中毒の蔓延、クリミア危機などを背景としたウクライナ情勢を憂い、その打開策として優秀なウクライナ戦士を産み育てることを目指す。そのためには女性自らも優秀な戦士でなくてはならないという。

     

    フェミニズムに対する彼女たちの見解は「フェミニズムというものが女性をエンパワーメントして、強さと自由な意志を尊重させるという意味であるのならば、アズハルダはまごうことなきフェミニズムである」「しかし女が男よりも偉くなることを目的とし、男を邪険に扱うことを目的とするのがフェミニズムだと言うのであればアズハルダは全くフェミニズムではない」。

     

    彼女たちは女戦士として一人前なること同様に伝統的家父長制度を重視する。家事を大切にし、子供を育て、家を守り、男たちを盛り立てるべきとの主張を述べる。

     

    彼女たちの背後には女性政治家ユーリア・ティモシェンコの存在も噂されるが、2004年オレンジ革命に顕著なように、ロシアと欧州の狭間というグローバリズム最前線にさらされている土地ならではの強度を持ったフラタニティ文化を形成しているのが見てとれる。

     

    また、アズハルダではイニシエーション儀式もあり秘密結社としての要素が強いのが特徴。

     

    アズハルダのイニシエーション風景

     

    NORSKKノースKK

     

    バーサーカー・コースは秘伝ゆえに映像はないが、その前段階のコースでこのクオリティ!

    ともかく雪の中で裸スタイルは基本中の基本!!!

     

    ノルウェーのバイキング信仰を現代に唱えるフラタニティがこのノースKK。団員には軍事訓練が科せられ、そのコースは三段階に設置されている。

    第一段階が「バイキング・トレーニング・コース」、第二段階が「ワイルド・バイキング・コース」、そして最終段階が「クレイジー・バイキング、バーサーカー・コース」である。

     

    バーサーカーとはベルセルクとも呼ばれ、北欧神話に登場する狂戦士のこと。戦場の最前線で戦うバーサーカーは鎧などの防具は身につけず、熊や狼の毛皮を身にまとい、トランス状態になりながら敵味方区別なく生きるものすべてを殺戮しまくる傭兵だという。

     

    ノースKKではこのバーサーカーを現代に蘇らせるべく極寒の山奥にて一週間キャンプをはり、北欧神話伝説の育成を実行している。

     

     

    世界トップレベルの福祉国家として「幸福の国」イメージの強いノルウェーだが、1990年代のブラック・メタル一派の殺人事件や教会放火、また2011年アンネシュ・ブレイビクによる連続テロ事件(77名が死亡)など、移民受け入れ問題やイスラム・フォビア、ネオナチ信仰や若者に広がるヘロインの蔓延など深い闇を抱えているのも事実。

     

    福祉国家を支える若者たちが抜け出すことのできない格差のなかで、自分たちのアイデンティティを(かつてナチスが成し遂げようとした)ノルディック・イデオロギーに求める傾向がフラタニティ文化にも流入。彼らは都市の貧困から抜け出すために山や森に飛び出し、極限まで身体を鍛え上げ殺人術を共有し、本気でバーサーカーを目指すという、最悪にして最強の民兵シーンを形成しており、彼らのフラタニティでもまた秘密結社としてのイニシエーションが必須となっているという。

     

     

     

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    以上紹介してきたように、かつては洗練された大人の知的サロンであったフラタニティ文化はグローバリズムや移民問題、格差拡大、イスラムフォビアなどを経て有象無象のインデペンデント組織が各国で形成されつつある状況だ。

     

    彼らはソ連崩壊後の元マフィアや犯罪者、薬物依存患者、レイシスト、失業者、ネット・ギークなど様々なレイヤーを持ちながらも、牽引するもの(ノルディック・イデオロギーやトランプ旋風など)を拠りどころとして強度を保ち続けている。

     

    現在はまだインデペンデントな存在であるものの、彼らが皆が憧れるようなデザインやビジュアル、音楽などを身にまといメインカルチャーに進出して来たとき、はたしてインテレクチャル側に対抗手段は残されているであろうか?そして日本におけるフラタニティ文化はこの強度を保ち得るのか???など・・・・・


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