出演:伊達伯欣(つゆくさ医院、イルハ、オピトープ)、永田希(Book News)、持田保
【ニューエイジ・ミュージックとアンビエント・ミュージックの違いについて】
どちらも音楽スタイルとしては表面上似通っているいるのこともあり、いまひとつ分かりにくいという指摘をいただいたので・・・・・
ニューエイジ・ミュージック→60'sサイケデリック・ムーブメントからの流れ。ヒッピー的意識のあり方を継承し、社会運動にもコミット。オルタナティヴな領域を目指す。ニューエイジ運動そのもに関してはコチラを参照くださいhttp://tmochida.jugem.jp/?day=20150506
アンビエント・ミュージック→70'sプログレッシブ・ロックと英国実験音楽(コーネリアス・カーデューなど)をルーツに、サティやケージの思想部分を継承して誕生。ニューエイジのオルタナ化に対して意識のフラット化を試みる(永田)
【アンビエント・ミュージックの分化】
意識のフラット化を目指し、サティ、ケージ、イーノの流れによる静的な領域への追及を目的とした思想系アンビエント。
ニューエイジ的オルタナティヴ要素をアンビエントに導入したThe KLF以降のハウス・テクノ側からのアンビエント。
ジャンル・ミクスチャーが進み、音楽スタイルとして確立された近年のアンビエント。
【アンビエントと癒しについて】
今回の反省点は「アートとセラピー」とワンクッションおかず、「アンビエントとセラピー」とテーマを絞るべきだったと。
なぜアンビエント・ミュージックから癒しにつながるか?はたしてアンビエント・ミュージックは癒しにつながるのか?
それはヒーリング・ミュージックとどう異なるのか?
持田の実力不足もあり、明確な答に到達することはかないませんでしたが、アンビエント作家&医療従事者である伊達さんから「癒し」について重要なお話をうかがえたのでピックアップします。
↓↓↓↓↓
伊達さんは調布市に「つゆくさ医院」というクリニックを開業されており、待合室ではアンビエント・ミュージックが流されています。漢方医療と西洋医療を統合した治療をおこなっており、まさにアンビエントと「癒し」のマスターとも呼べる存在。
その伊達さんいわく「癒しとは共鳴である」とのこと。
「カウンセリングで患者さんは何に癒されるのか?患者さんの病いを治すことは治療であって癒しではない。そもそも病いは最終的に本人が治すことしかできない。」
「医者として患者さんの話を聞き、ああそれわかる、つらいよね、などと心から共鳴することが癒しである。」
「音楽においても、演奏中鳴っている音が誰の音かわからなくなるときがある(妨害なき相互浸透)。そういう共鳴作用がおこったときの演奏は良い演奏の場合が多い。」
「知識を得ることは癒しにはならない。知識を得たことで、個々のなかの何かに共鳴作用がおこることが癒しにつながる。」
「医療(治療)は治るという見返りを求めるもの。しかし、癒しは 見返りを求めない。医者として(伊達さんは)癒しのほうが大切だと感じている。」
などなど、共鳴の大切さを貴重なエピソードをまじえてお話いただき、大変興味深かったです。
また、上記以外にも、つゆくさ医院のベスト・アンビエント・ミュージックは「風鈴」であることや、日本人特有の右脳的聴覚認識の話。病院のアンビエント化による精神的健康改善の話。震災後の漢方治療の伸びと、その保険適用への弾圧など、それぞれ面白すぎるエピソード満載であっという間の3時間でした。
宿題としてはアンビエント・ミュージック×癒し×神秘主義のイコールを個人的に提示できなかったことがあげられますので、こちらについては次回ブログでまとめてみたいと思います。