COIL / Horse Rotorvator (Force & Form) 1986
コイル最高傑作との評価も高い2ndアルバム。世界の崩壊時に四人の騎士が自らの馬を殺し、その顎の骨から巨大機械Horse Rotorvatorを駆動させるという黙示録をテーマに、全体的に「死」のイメージが蔓延した内容。ジム・フィータスやマーク・アーモンド、ビリー・マッギーなど豪華ゲストを招聘しながらも全体的に鎮魂色が色濃い。贖罪の意味を唄ったレーナード・コーエン大名曲”フー・バイ・ファイヤー”のカバーや、アカプルコの路上で子供が唄っていたのを現地録音した”ベイビーレロ”など、しんみり感がハンパないが、なかでも「ソドムの市」でおなじみの映画監督ピエロ・パゾリーニがリンチ死に至った模様を延々と歌い上げた”オスティア”にてそのゴシック美は爆発する。さらに追い打ちをかけるようにラスト曲”ザ・ファースト・ファイブ・ミニッツ・アフター・デス(死んでからの最初の5分間)”で今度は虐殺されたパゾリーニの視点で描かれたチェンバー風景が広がっており、その世界観の完成度たるや他に類をみない。