<< オカルトとナショナリズム用年表更新しました | main | オカルトとナショナリズム資料用年表更新」しました >>

ネオペイガニズムと緑のネットワーク

0
    ネオペイガニズムと緑のネットワーク

    ナチス・オカルトの根幹を成していたアリオゾフィ思想、ユダヤ人排除、古代ゲルマン神話復活運動は1945年のドイツ無条件降伏により一時的に潰える。

    しかし1951年に英国で魔女禁止法が廃止され、ジェラルド・ガードナーが1954年“今日のウィッチクラフト”出版するなど、近代化されたオカルティズムやペイガニズム運動が徐々に欧州を中心として復活。

    やがて1960年代のヒッピー運動やニューエイジ運動の後押しもあり、ネオペイガン運動として草の根ネットワーク的に欧米各地に発展。ドイツではアドルフ・シュライバー&ジグルーン・シュライバー夫妻によるアルマーネン教団がアリオゾフィー思想の復活の狼煙をあげる。

    これらネオペイガン運動の流れは一方で反グローバリズムな民族主義と結びつく右翼路線に、また一方ではフェミニズムやエコロジー的社会主義運動と結びつく左翼路線へと枝分かれする。しかし左右のイデオロギーは完全に分断されたものではなく、文化ペシミズムや文明批判、物質主義への抵抗やロマン主義への傾倒を根っことして有機的にからみあう。そのからみあいの象徴といえるのが「緑のネットワーク」だろう。

    日本でエコロジーと言えば左翼市民運動的イメージが強いが、エコロジー思想の潮流をたどればドイツの生物学者エルンスト・ヘッケル(1834-1919)による1866年著書”生物の家計(個体や生物群の間の物質やエネルギーのやりとり)に関する科学”に行き着く。そしてまたヘッ ケルの唱えた”優生学”(注1)はナチスの人種政策にも多大なる影響を与えた。

    エコロジーとナチスの関わりは深く、ナチス政権下では1933年動物保護法、1934年国家狩猟法、1935年国家自然保護法などが制定され、有機農法が推奨されるなど、現在の「緑の党」の先駆けとも呼べるエコロジー政策が行われていたことは有名だ。

    ナチス・エコロジー思想は人間中心主義よりも生命中心主義に主軸をおいており、神智学思想の影響や後のガイア論の先取りを感じさせる。キリスト教的「神と人間」の二元論の否定、オカルト思考と民族ロマン主義が結びつき「血と土」(注2)のイデオロギーは民族へのパーフェクトな忠誠をドイツ国民(アーリア人限定だが)に求めた。”その土地に対する権利はその土 地で育った人間のみが有するものである”。

    第三帝国とナチスが壊滅したとき、ドイツ国内ではナチスの亡霊を封印するため、長らくの間エコロジー思想はタブーとされた。そして大量消費、大量生産が美徳とされる高度成長期を迎え、そのツケとして環境問題が深刻化した。

    それでもリベラルや左派運動家たちは「エコロジーはファシストのやること」と環境問題に向き合おうとはしなかった。そんな状況のなか、ドイツ国内でいち早くエコロジー運動に立ち上がったのは農家や漁村の保守や右派の人々だったという。

    彼らは70年代から「緑ネットワーク」を展開。国政も動かすべく79年には「諸派・緑の党」としてヨゼフ・ボイス(!!!)などを候補者として選挙にうってでるものの敗退 。 この失敗から今度は左派運動家たちと手を結び、翌80年「緑の党」として再スタートを切る。

    しかし思想の衝突は避けられず82年には創始者であった右派メンバーが「緑の党」実権を左派にうばわれたことから全員脱退。新たに保守系政党「エコロジー民主党」や「ドイツ独立環境党」を結成するも野党のまま。

    そんな右派をしり目に左派「緑の党」は1998?2005年にはドイツ社会民主党と連立を組み与党となる大躍進っぷり。ドイツの原子力発電所の段階的廃止を法案成立させるなど、現在も野党の立場ながら大きな勢力を保持している。

    こうしてドイツ「緑のネットワーク」における左右イデオロギーは”反原発”で一時的につながるものの、エコロジーを考える際に避けては通れない「人 口の問題」とそれに付随する「人種問題」の思想相違で決裂した。それでもドイツ「緑のネットワーク」を大戦後立ち上げたのは保守や右派勢力であり、彼らのエコロジー思想はナチスから受け継がれたものであるのは間違いないだろう。

    このように「緑のネットワーク」は、一筋縄では語れないオカルティックな側面をも抱える運動であるが、さらに「あなたの聴かない世界」的観点からうかがえば、ヒトラーに魔術指導をしたと噂されるドイツ地勢学者カール・ハウスホーファーが関わった日本の密教秘密結社”緑竜会”(注3)やチベット密教アガルタ派の預言者”緑の手袋の男”などの「緑のネットワーク」も、現在の「緑の党」などと関連あるのか気になるところだ。


    "あなたの聴かない世界vol.11 / オカルトとナショナリズム"
    会場:大久保ブエナhttp://buena.tokyo/access
    2016年12/18(日)18:30開場19:00開演 料金:1500円+1ドリンク

    ゲスト:宇田川岳夫(フリンジ・カルチャー研究家)
    出演 : 持田保、永田希

    スポンサーサイト

    0
      • 2017.09.20 Wednesday
      • -
      • 12:31
      • -
      • -
      • by スポンサードリンク

      コメント
      コメントする









      calendar
           12
      3456789
      10111213141516
      17181920212223
      24252627282930
      << September 2017 >>
      PR
      selected entries
      archives
      recent comment
      • SUN RA AND HIS ASTRO INFINITY ARKESTRA / Atlantis
        吉峰佳 (11/03)
      • ノイエ・ドイッチェ・ヴェレ好きの人、もうちょっとクリスチーネ・Fのこと思い出して欲しい
        SA (03/21)
      recommend
      links
      profile
      search this site.
      others
      mobile
      qrcode
      powered
      無料ブログ作成サービス JUGEM